備忘録。

CoC初心者たちのセッションログなど。

【デッドラインヒーローズ】シナリオ『プロメテウス・パラロジズム』

身内で遊んだ際に作ったDLHのシナリオ。
灰はX-MENが好きなので、映画一作目をだいぶ意識しています。

敵データに関しては一個上の記事を参照してください。

 

【シナリオタイトル:プロメテウス・パラロジズム】

【事前の公開情報】

▽プレイ人数:2人

▼リトライ:2
▼初期グリット:3
▼チャレンジ:2
▼クエリー:3

現在、某国では超人種登録法をめぐる議論が活発化していた。
野党の中でも急進派とされる議員のヘイト=シングルトンが「超人種を国で徹底して管理すべきだ」と主張し、それに賛同する者の声が大きくなりつつある。

セカンド・カラミティ以降、ヒーローにとって絶望的な状況が続いている。日々の活動によって心身共に摩耗しヴィランに転じる者も少なくはなく、超人種と旧世代の溝はじわじわと、しかし確実に広がっている。
特に顕著なのは、身体的特徴が現れるサイオンの差別だ。
保守派は折衷案としてサイオンの居住区を設けることで、この問題を収めようとしている。

 

そんな折、『マーヴェラス・マヴェリクス』を名乗るテロリストが声明を出した。
「同胞たちよ、忍耐の日々はもう終わりにしようではないか。これからは我々サイオンの時代だ。我々こそが新世代。人類の正統な進化形だ!」
「俺が火を起こそう。これはサイオンにとって原初の火となる。楽しみにするといい」

 

【エントリー】

[エントリー:PC01]
※サイオン以外が望ましい。
キミが見回りをしていると、興奮した子どもたちの声が聞こえてきた。駆けつけたキミが見たものは、子どもたちに囲まれ、石など投げられている醜いサイオンだった。
キミはサイオンを助けるが、そのサイオンは意識を失っている。
キミは彼を匿うことにした。

 

[エントリー:PC02]
サイオンであるキミの許に、一通の手紙が届いた。
封を開ける前にヴィラン出現の通信が入ったため、キミは手紙をポケットにねじ込んで現場へ駆けつける。 

【シナリオの背景】

超人種登録法とサイオン居住区の整備をめぐる議論が活発に交わされる中、サイオンのみで構成されるテロリスト集団『マーヴェラス・マヴェリクス』は反超人種過激派の先鋒であるヘイト=シングルトン議員を密かに誘拐し、サイオン化薬の投与実験を行っていた。
彼らは数日後にひらかれる国会でサイオン化薬を散布したいと考えている。集まった議員たちをサイオンに変えてしまおうというのが彼らの狙いだ。


それを知ったヘイト議員は、どうにかMMの許から逃げ出した。しかしかつての面影もなく醜いサイオンに成り果てた彼に、世間は救いの手を差し伸べない。
一方のMMはサイオンのヒーローを味方に引き入れようと、さらに卑劣な罠を張り巡らせていた。

NPC情報】

・『マーヴェラス・マヴェリクス』…敵データ参照


・ネームレス
性別:男
PC1が助けることになる醜いサイオン。
体を植物に変化させる能力を持つが、力を使うたびに本来の姿が保てず形が崩れていく。また導入イベント開始時点ではとあるショックから一時的に言葉を話せなくなっている。その正体は、超人種登録法の必要性を主張していたヘイト=シングルトン議員だ。
彼は特にサイオンを標的としてたびたびヘイトスピーチを行っており、以前からMMの目に留まっていた。ヘイト議員の変異こそ、MMの起こした「原初の火」である。

 

【導入フェイズ】

[イベント01:風変わりなサイオン]

・登場キャラクター:PC1
・場所:街中

▽状況

キミはいつものように街の見回りをしている。マスコミは超人種登録法やサイオン居住区について連日報道しているが、キミの周りは至って代わらない。平和を守るキミに対しておおむね友好的だ。
※【事前の公開情報】参照。
そんなある日、キミは子どもたちが騒ぐ声を聞きつけた。路地裏へ駆けつけると、そこには大きなボロ切れが転がっていた。生きもののようだ。子どもたちがはやし立てている。
「なんだこいつ、気持ちわりい!」「サイオンだ!」

・解説
子どもたちは道ばたに倒れたサイオンに石を投げつけている。連日の報道でサイオンに対する差別意識が高まっていること、見た目が醜いこともあって、子どもたちに罪の意識はない。子どもの無邪気さは、時に残酷である。

 

▽状況2

キミは子どもたちを帰らせ、サイオンを助け起こした。
枯れ木のような皮膚に繊維質の体毛が生えたそのサイオンは、酷い怪我を負い意識を失っている。
子どもの投げた石では、こうはならないだろう。

・解説2
PCは病院へ連れて行くことを提案するかもしれない。
しかしマーヴェラス・マヴェリクスが声明を出してから、街の人たちはサイオンに対して疑心暗鬼になっている。医者へ連れて行っても「患者たちが恐がるから」と、頑なに診てはもらえない。
PC1が自宅へ連れ帰って看病する流れに誘導するのが望ましい。

 

▽状況3

手当てを受けたサイオンは目を覚ますが、どうやら言葉が喋れないらしい。記憶も混濁しているのか、キミの問いかけに対しても返事はない。
公的機関を頼ろうとしても、得体の知れないサイオンということで尻込みされるだろう。
タイミングも悪く、三日後には「サイオン居住区」の整備と、それに関する「サイオン登録法」が議案として国会で審議されることになっている。
謎のサイオンにとって、頼れるのはキミしかいない。

・解説3
謎のサイオンはネームレスと呼ぶか、PC1が好きに名付けていい。

 

▽エンドチェック

□チェック項目:PC1が謎のサイオンを拾い、保護した。

 

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[イベント02:招待状]

・登場キャラクター:PC2
・場所:自宅

▽状況

キミはサイオンだ。サイオンの行く末を憂い、サイオンへの恐怖感情を煽る『マーヴェラス・マヴェリクス』の声明に胃を痛める日々が続いている。とはいえ、今のところ周囲はヒーローであるキミに対しておおむね友好的だ。
そんなある日、キミの許に一通の手紙が届いた。赤い封筒に金色の封緘。まるで招待状に見える。封を開けようとしたキミはヴィラン出現の通信が入ったため、手紙をポケットにねじ込んで現場へ駆けつけた。

▽状況2

難なくヴィランを捕らえたキミだが、騒動の最中に手紙を落としてしまったらしい。野次馬の一人が拾い、中を見て騒ぎ出した。
“親愛なる我が同胞、PC2殿”
から始まるそれは、今世間を騒がせている『マーヴェラス・マヴェリクス』からキミへの勧誘の手紙だった。野次馬たちの声が聞こえてくる。


「まさか、PC2がMMの仲間だったなんて……!」
「いや、まだそうと決まったわけじゃ……」
「でも、PC2はサイオンだ。やっぱり俺たちとは違う!」

・解説2
大衆は勝手なものである。手紙の内容はあっという間に拡がり、現場は恐慌状態に陥る。PC2がどれだけ身の潔白を訴えようと、人々は怖がるばかりで聞く耳を持たない。
GMは大衆に物を投げさせるなどして、PC2がその場から逃げるよう誘導してほしい。

 

▽状況3

誰かが通報したのか、パトカーのサイレンまで聞こえてくる。
焦ったキミを呼ぶ声が聞こえた。「こっちよ。早く!」物陰からキミを呼ぶのは、ボーイッシュな少女だった。手には小さな鉤爪のようなものがあり、一目でサイオンと分かる。
「早くしないと、街の人たちに見つかっちゃう!」
キミが少女についていくと、一軒の空き家に辿り着いた。中の家具は埃をかぶっている。そこで少女はキミにこう名乗る。
「わたしはミラー。PC2さんのファンなの」
「サイオンに生まれて辛いこともあるけど、あなたの活躍を聞くたびにわたしも同じサイオンなんだって誇らしい気持ちになれるから」
「いつも人助けをしてきたあなたがMMに荷担してるわけがない。それなのに、みんな酷い……」
少女はキミを尊敬しているようだ。キミを見る目には憧憬の光がある。
会話を交わしていると、にわかに外が騒がしくなった。
追っ手が来たらしい。

・解説3
ミラーの正体はMMの参謀、ミス・ミラージュである。
彼女はPC2を仲間に引き込もうと、少女の姿で揺さぶりをかけてくる。


▽エンドチェック

□チェック項目:PC2が街の人々から疑われた。
□チェック項目:PC2がミラーと出会い、打ち解けた。

 

【展開フェイズ】

[イベント03:早すぎた別れ]※クエリー1

・登場キャラクター:PC2
・場所:空き屋

▽状況

「見つけたぞ、PC2!」
「テロリストの仲間め!」
そんな怒号とともに、雑な覆面で顔を隠した男たちが部屋の入り口を蹴破ってくる。
どこで用意したのか手には銃を持っており、キミを見るなり発砲した。至近距離からの急な発砲に、さすがのキミも避けられそうにない。
そんなキミを突き飛ばし、ミラーが前に出る。何発もの銃弾をすべてその体に受けた少女は、血を流しながら床に倒れ込んだ。
少女を撃ってしまったと知るや、男たちは慌てて逃げ出す。

・解説
覆面で顔を隠した男たちは、街の人々ではない。MMのテロリストである。
もちろんミラー(ミス・ミラージュ)がPC2を庇ったのも計画通りだ。

 

▽状況2

「大人になったら、PC2さんようなヒーローになるのが夢だったんだけどな……」
「なんでサイオンに生まれちゃったんだろう……」
「なんでみんな、サイオンを怖がるんだろう……」
そう言って、ミラーはキミの腕の中で息絶えた。


悲嘆に暮れるキミの前に男が現れる。赤い軍服を着た、癖のある黒髪を肩まで伸ばした美しい青年だ。彼は嘆かわしげに頭を振るとキミの前に屈み込み、ミラーの顔に触れた。
「サイオンの希望とも呼べる若い命が、いとも容易く摘み取られてしまった……」
怪訝な顔をするであろうキミに、男は恭しく一礼して答える。
「これは失礼。わたしはソーン。MMに所属しております」
「手紙だけでは失礼に当たるから挨拶をしてくるようにと、我が王の仰せでして。しかしどうにも間が悪かったようですね」
「この現実に、あなたは怒りを覚えないのですか?」
「王に代わり、改めてお誘い申し上げます。我々とともに、サイオンが安心して暮らせる世界を作りましょう。お返事は……二日後の夜、議事堂へお越しください」
「この少女は同じサイオンとして我々が手厚く葬ります」
言い終わったソーンが指を鳴らすと、花吹雪が巻き起こった。薔薇の花弁だ。花吹雪が止んだあとにはソーンの姿もミラーの遺体も消えている。

・解説2
PC2がどう答えようとソーンはミラーの遺体を奪い、その場から姿を消す。

 

▽エンドチェック

□チェック項目:PC2がミラーを看取った。
□チェック項目:ソーンの問いかけに答えた。
□グリットを1点得る。

 

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[イベント04:交流]※クエリー2

・登場キャラクター:PC1
・場所:自宅

▽状況

キミがネームレスを保護して一晩が経った。ネームレスは、今は部屋の隅に座っている。相変わらず喋る様子を見せず、なにかに怯えているようにも見える。

・解説
もし筆談を試みようとした場合、ネームレスはペンを握ろうとする。枝のような指はペンに巻き付くが、力の加減ができずにへし折ってしまう。ネームレスは悲しそうな顔をする。またPC1が親切な対応をした場合、ネームレスの頭に生えた枝にパッと花が咲くだろう。喋ることはできないが、感情表現は意外と豊かだ。

 

▽状況2

キミがネームレスとの交流を試みようとしていると、通りの方から人の声が聞こえてくる。どうやら街の人々が誰かを捜しているようだ。
「PC2はどこだ!」
「子どもを殺したらしい」
「早く捕まえろ!」
などといった声が聞こえてくる。
キミは同じ街で活動するPC2の名前を知っている。

解説2
街の人たちは殺気立っている。しかし、主に騒ぎ立てて人々を扇動しているのはMMが紛れ込ませたさくらだ。PC2はMMの罠にかかり追い詰められている。
PC1が外へ出てPC2を助けるよう誘導するのが望ましい。

 

▽状況3

キミが外へ出ようとすると、ネームレスもついてこようとする。
街の人々が殺気立っているからとキミが言っても、ネームレスは首を横に振って聞かない。もし置いていったとしても、ネームレスは大人しく家で待っていそうな雰囲気ではない。

 

▽エンドチェック

□チェック項目:PC1が外の騒ぎを知った。
□チェック項目:PC1がネームレスとともにPC2を探しに行こうと決めた。
□グリットを1点得る。

 

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[イベント05:お尋ね者]※チャレンジ1

・登場キャラクター:PC1、PC2
・場所:街中

▽状況

PC2は街の人々に追われている。MMとの関与を疑われ、逃げた先で少女を殺したという噂があっという間に広まってしまったからだ。街のサイオンたちは巻き込まれることを恐れて門戸を固く閉ざしている。
つい一昨日まで自分のことをヒーローと呼んでいた人々が牙を剥き、襲ってくる。睡眠もろくに取れていない。この状況に対する焦りと混乱から、判断力はじわじわと鈍っていく。

・解説
チャレンジイベントだ。PCがこのチャレンジを達成するには、合計2回の判定に成功しなければならない。また判定①はPC1がチャレンジし、判定②はPC2が行うこと。

判定①:〈交渉〉…PC1:建物の陰で息を潜めているPC2を見つけ、味方であると伝える。
判定②:〈隠密〉…PC2:人々に見つかることなくPC1についていく。

▽失敗した場合

このチャレンジに失敗すると、人々は逃げていくPCたちを目撃することになる。
「あ、PC1! PC2とグルだったんだ!」
「サイオンじゃないのに……いや、やっぱり超人種そのものが危険なのか?」
興奮した街の人々は、口々に勝手なことを言うだろう。
PCはそれぞれクレジットを【1D6+2】点減らすこと。なお、この判定に失敗した場合リトライを使用するかはPCが決められる。決戦フェイズには移行しないものとする。

 

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[イベント06:彼の名は]※クエリー3

・登場キャラクター:全員
・場所:自由

▽状況

キミたちは逃げる。PC1の家にも「ヒーロー仲間だから」と追っ手が先回りして見張っていたため、入ることができなかった。逃げているうちに街のはずれまできたキミたちだが、周囲に木々はあるが隠れられそうにない。引き返そうにも街の方からは人の気配が追いかけてくる。
絶体絶命かと思われたとき、それまで黙って後を付いてくるばかりだったネームレスが地面に手を当てた。
次の瞬間、ネームレスの姿が大木に変化する。根元にはぽっかりと穴が開いており、二人ぐらいなら入れそうだ。

・解説
ネームレスの能力は植物への変化である。

 

▽状況2

キミたちが洞の中に入ると、木肌が入り組むようにして入り口がぴたりと閉じた。
「PC2はいたか?」
「いいや。街の外へ逃げたか?」
「だったら、深追いしない方がいいな。MMと罠を張っているかもしれない」
人々はそんなことを言いながら引き返して行く。完全に人の気配がなくなったのを見計らってか、ネームレスが洞の入り口を開けた。PCたちが外へ出るとネームレスもまた変化を解くが、その体がぐにゃりと歪んでスライムのように地面へ崩れた。

▽状況3

なんらかの反応を示したキミたちに、ネームレスがはじめて声を発する。
「さっき、思い……出した……」
どろどろの体に張り付いた口が、ぱくぱくと動いている。
「わたしは、ヘイト=シングルトン……キミたちの敵だ……」
アジテーター……あのテロリストに捕まり、薬を浴びせられた……こんな姿に……」
「隙を見て逃げ出したが……人々はわたしの姿を見て怯え……誰も助けてはくれなかった……キミ以外は、PC1……わたしが危険視した、超人種のキミだけが、手を差し伸べてくれた……」
「頼みを聞いてくれ……議事堂に爆弾が…やつら、仕掛け、議員たちを、サイオンにしようと……薬は不完全だ…みな、わたしのように……すまなかった…すまない……」
そう言って、ヘイト議員は事切れる。スライム状だった彼の体は土塊となり、風に吹かれてさらさらと崩れた。

 

▽エンドチェック

□チェック項目:PCたちがネームレスの正体を知った。
□チェック項目:PCたちがヘイト議員の最後の願いを聞いた。
□グリットを1点得る。

 

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[イベント07:再会]※チャレンジ2

・登場キャラクター:全員
・場所:議事堂

▽状況

キミたちは夜を待つと議事堂へ忍び込むことにした。
街の人々にとって盲点だったのだろう。夜間のセキュリティガードだけが守っている。
ところが爆弾を探そうとしたキミたちの前に現れたのは、死んだはずのミラーだった。彼女はPC2を見て嘆息する。
「ああ、もう。ソーンとの約束は明日の夜ではなかった?」
「しかもPC1まで一緒なんて。だからあんな茶番は無意味だと言ったのに」
「計画まで嗅ぎつけられてしまって、本当に仕様がないのだから」
ミラーが片手を振ると姿が変わった。シルエットからすると大人の女のようだが、モザイクがかかってどんな人物なのかまでは分からない。
まず彼女をどうにかしなければ、爆弾を探すのは難しいだろう。

・解説
チャレンジイベントだ。PCがこのチャレンジを達成するには、合計2回の判定に成功しなければならない。判定②と判定③は同じPCが行うことはできない。

判定①:〈作戦〉…セキュリティガードを傷付けることなく無力化する。
判定②:〈白兵〉〈射撃〉〈霊能〉…ミス・ミラージュを捕まえる。

失敗…

このチャレンジに失敗すると、決戦フェイズでミス・ミラージュが参戦する。また判定①の時点でリトライ数が0以下になっていた場合、警備員三名との三つ巴になる。

 

【決戦フェイズ】

ヴィランデータに関してはこちらを参照。

 

[イベント8:決闘]

・登場キャラクター:全員
・場所:議事堂

・イベント開始前に
チャレンジ判定に失敗していた場合、戦闘が三つ巴になる可能性がある。
GMは各状況での配置と戦力を把握し、また以下の描写も適宜変更を加えてほしい。

▽状況

キミたちがミス・ミラージュを捕らえると、あたりがぱっと明るくなった。
光ではない。赤々とした、それは炎だ。圧倒的熱量をもって、議事堂内の空気を灼いている。熱気の中に、こつこつと響く硬い足音があった。
「成程、貴様らはヒーローとして優秀なようだ。しかしその才が旧世代のために使われるのは惜しい。実に惜しいぞ」
赤い軍服に黒の外套を靡かせながら歩いてくる。燃えるような赤い髪に、大型爬虫類を思わせる獰猛さをたたえた人物だ。
彼がMMのリーダーだろう。


アジテーター様の御前だ、頭を垂れろ」
男の傍で影のように控えていたソーンが、PC2をじろりと睨んだ。
「チャンスを与えてやったのに、あくまでそちら側を選ぶとは。愚かだな」
腹を立てるソーンをアジテーターと呼ばれた男がなだめる。
「怒るな、ソーン。俺の誘い方にも非はあった。だからこうして顔を見せにきてやったのだ」
「俺はテロリストではない。礼儀を重んじ、サイオンの未来を憂えるだけの男だ。手紙一枚の非礼を詫びて、貴様らにチャンスをくれてやる」
「ソーンと貴様ら、どちらが上手か勝負といこう」
「貴様らが勝ったなら……そうだな、ミラージュ。爆弾の設置場所と、今回の陰謀について皆の前で語ってPC2を助けてやれ」
そう言い残すと、アジテーターは来たときと同じように引き返していった。
圧が消え、キミたちも動きを取り戻す。
さあ、ソーンとの戦いだ。

 

▽初期位置

ソーン:エリア④
(ミス・ミラージュ:エリア③)
テロリスト3人:エリア②
(セキュリティガード3人:エリア①)

▽戦術

ソーンはエリア④から動かない。PCに向かってランダムで《刺し貫く!》を使用し、【束縛】を受けたPCがいれば、次の行動でもう一方に《徒花と散らす!》で攻撃する。
(※ミス・ミラージュは最初のターンで《朧百景》を使い、その後は《乱反射》、さらに《蜃の反撃》でカウンターを狙う)
・テロリストは近くにいるPCをランダムで攻撃する。
(※セキュリティガードは射程内のヴィラン、PCをランダムで攻撃する)


【余韻フェイズ】

例)キミたちの勝利だ。ソーンは隙を見てその場から逃げ出したが、ミス・ミラージュは大人しく捕まったままである。アジテーターとの約束どおり、ミス・ミラージュはメディアの前でMMの陰謀を語った。


――サイオン化薬で議員のすべてをサイオンに変えようとしていたこと、サイオンに怯える人々の心理を利用しPC2を追い詰め、MMに引き入れようとしていたこと。


※ただし、ヘイト=シングルトン議員の誘拐だけは明かさないものとする。人々はヘイト議員が誘拐されていたことを知らず、この後は脱獄したミラージュがヘイト議員に成り代わり、サイオンを保護する政策を提案していくことになる。また国会が開かれる前夜にPC2を呼びつけたのは、テロが起こる前にPC2が議事堂にいたという目撃証言を作るためである。


PC2に対する、人々の誤解と疑惑は解けるだろう。人々との関係やPC1のエンディングについても、好きに演出するといい。

 

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[イベント9:エンドロールのその後に]

・登場キャラクター:アジテーター、ソーン
・場所:???

▽状況

その男は唇を大きく歪めている。闇よりもなお暗い色の外套をはためかせながら、笑っているのだ。信頼する仲間の一人を失いながら、さほど気にしていないふうだった。


茨の騎士が深く頭を垂れる。
「申し訳ありません、我が王」
「いいや、かまわん。どちらにせよ、ミラージュを送り込む必要はあった。まあ、議員どもが苦しみ悶える姿を見られなくなったのは残念だが……」
「いずれ再び機会が巡ってくるでしょう。そのときが来ましたら、わたしも汚名返上させていただきます」
「ああ、期待している。それにしてもPC1と、PC2か……覚えたぞ」
男は低く笑うと踵を返していった。


茨の騎士はその体制でかしづいていたが、男の足音が聞こえなくなった頃にようやく頭を上げたのだった。

・解説
映画っぽくエンドロール後。不要だと感じたなら削ってもいい。
ミス・ミラージュはこの後脱走し、ヘイト=シングルトンに成り代わって政界にもぐり込む。それが《サイオン化計画》に失敗した場合の、代替案だったのである。

 

□PLたちは成長点を最大で8点取得する。